INTERVIEW 〜 ドイツ音楽雑誌 "BLACK " インタビュー (2001年5月) 〜




BLACK あなた方についていくつかのインタビューを読みましたが、
JACK OR JIVEの名前の由来についての質問がひとつも見つけられませんでした。
あなた方はなぜその名前を選び、またその名前を通じて何を伝えたかったのですか?

chako わたしは、このJACK OR JIVEという響きが耳に心地よく感じ、音楽をやる上でこの名前をつけました。
JACK OR JIVEに特定の意味はありません。名前を通じて何かを表現し伝える目的もありません。
この意味のない名前こそが、歌詞に言語としての意味を持たせないことの表徴を示しているのではと
感じています。


BLACK 最近のリリースの中で、あなたが作曲、企画したけれども出演しなかったオペラのアナログ盤
「LEGEND OF BIWAKO」がありますね。それについて何か話していただけますか?  
何についてのテーマなのでしょうか?またオペラに携わるようになったきっかけは何でしょうか?


chako あのオペラの原作者でオペラ歌手の山元法子さんから依頼を受けたのがきっかけです。
彼女は末期のガン患者で、最後の創作オペラでJACK OR JIVEに曲を作ってほしいと望んだのです。
これはとても画期的なことで、よく彼女も依頼をして下さったなぁと感じましたね。
結局彼女はそのステージで歌うことは出来ませんでしたが、無事公演も成功を納め、
彼女はその3ヶ月後にお亡くなりました。彼女とも実に不思議な縁でしたね。
テーマは滋賀県の中に存在する大きな湖があり、この湖は現在環境問題の象徴としてしばしば
熱く語られる歴史ある湖、それが琵琶湖なのですね。 自然と人間との共生を目指しそのイメージを
物語に乗せていました。 作曲するにあたり、歌詞が存在していますので、こんな作り方もわたしにとって、
貴重な出来事でした。作品についてですが、ヒーリングミュージックといえるようなオペラになりました。


BLACK あなたはどうやってこの巨大プロジェクト(私が思うに)を 実現させましたか?

chako 確かにこれは巨大なプロジェクトでした。 わたしが実現させてという形ではなく、
参加させてもらったといった方が正しいでしょう。



BLACK あなた方の内の両方かいずれかがJOJ以外の音楽活動に参加した(している)ことはありますか?
音楽以外の分野も含みます。私はCHAKOが書道家であるということは知っているのですが・・・

chako 丁度今、わたしはイタリアのバンドGORと一緒に制作しています。
わたしは書道だけではなく、絵を描くのも好きです。


BLACK あなたは音楽へのアプローチで特別に「日本」や「東洋」を意識していますか?
(作品をつくるにあたって日本的、東洋的アプローチをとっているか?)
他の国のアーチストと、作品や作品をつくる過程が異なっていると感じますか?
もしそうならば、それはなんでしょうか?


chako わたしの場合、作品へのアプローチの仕方がとても独自なものだと感じます。
イメージを先行して作っていく手法ですので、時に東洋的であったり西洋的であったりします。
随分前は自分が東洋人であることを強く意識していましたが、今はそんなに強い意識はありません。
最もイメージを先行していけば、東洋的とか西洋的とかに囚われることなく
超越したものが生まれるからです。


BLACK 日本からの音楽が話題になる場合、ノイズなどの極端な音楽形式(JAPANOISE)か
J-POP(ほどんどがロリータイメージと結合したガールポップ)である場合がほとんどですが、
JOJはこれらの枠組みのいずれにも属していません。
日本のバンドで私が知っている中で唯一同じ方向性を持っている(いた)と言えるのが
AFTER DINNERです。 あなたは日本の音楽シーンをどのように捉えていますか?
また、その中での自分達の役割をどのように考えていますか?

chako わたしは日本の音楽シーンで残念に思えるのが、カラオケ文化です。
カラオケ文化が習慣化され、それに提供される商業的な曲は長生きしません。
つまり消費目的の音楽が、今随分とそのシェアを広げています。
一番の問題は、こうした消費目的の音楽が力を持つということです。
その結果消費目的以外の音楽はなかなか通常耳にする機会は少ないのです。
音楽に関するこの行き過ぎたビジネス産業界に、疑問を抱く人も少なくはないでしょう。
ある一定の常識感、つまり形・リズム・歌詞こんな基準値からはみ出す音楽は
個々に説明する人がいないといけない状況ですね。
説明なしでも人に感動を与えるのが音楽の素晴らしい所なのですが、残念です。
私としては消費音楽に疑問を抱いている人に、日本にもこうした音楽をやっている人がいるのか
ということを知ってもらえれば良いと思います。



BLACK あなた達が影響をうけた音楽はなんですか?

chako わたしの場合、特に影響を受けたものはありません。
創作活動において、日々の出来事や衝動的な出来事に触れ
それに感動を覚えた時強く芽生えますね。


BLACK 日本の社会とヨーロッパの社会の違いについて説明してください。

chako ヨーロッパの場合、個性は重要視されますが、日本の場合個性は奇抜なものという認識が
未だに強く、排除される動きがありますね。しかし深く付き合ってある程度、
パーソナリティーなどの認識が持てるようになったら受け入れると思うのです。
最初の第一印象で個性を判断してしまう所が、ちょっと早とちりな民族かもしれません。


BLACK あなたは宗教的、あるいは「スピリチュアル」なものを大切にする人間ですか?
それがあなたの音楽に影響を及ぼしているということはありますか?


chako わたしは創作過程において、その響きの中でスピリチュアルなものを音の中に感じ取った時
曲が生まれるといっても過言ではありません。
わたしの魂を突き動かすのは、常に衝動的なものが多いです。
喜びあふれるものにも感動しますし、悲しみいっぱいなものにも感動を覚えます。



BLACK 数年前、あなたはドイツの実験音楽家クリストフ・ヒーマンとコラボレーション
「YUKIGAFURU]をリリースしました。
その後もヒーマンはあなたの多くの作品をプロデュースしました。
これらのプロジェクトについて話してください。
また、クリストフと大々的にコラボするようになったきっかけはなんだったのでしょうか?


chako クリストフとは1992年に初めてドイツに行った時出会いました。
その時一緒に録音したものが「YUKIGAFURU」です。
その後1994年・1997年にも録音しましたが、それはリリースされていません。
大々的にコラボする事になった直接的な原因は、
わたしが滞在中に胃痛で数日間苦しみあまりの痛さに、
彼がホームドクターを呼んでくれて痛みから開放してもらったのがきっかけです。
一緒に録音してみませんか?というお誘いにわたしも喜んで引き受けたというわけです


BLACK
あなたは時に他の分野の芸術家と作品をつくりますね。
代表的な人がアルバムのアートワークのほとんどを手がけ、
オペラ推進に重要な役割を果たしたテキスタイルデザイナーの井上清造氏ですね。
彼とコラボレーションするようになったきっかけは何でしょうか?
彼の作品はあなたの音楽に特にマッチすると考えていますか?

chako 彼とは昔からの友達で、ARTや音楽の趣味で非常に交流のある1人です。
彼にジャケットのアートワークを依頼していますが、ある程度アルバムに収録する曲を
聞いてもらってからいつも作ってもらっています。
彼はわたしの音楽を非常に理解していますので、安心してアートワークをお任せしているのです。
ドイツでのパフォーマンス衣装なども彼が手がけていますが、東洋的であり、
時に思索的でもあります。そのコスチュームもわたしは非常に好きです。


BLACK あなたはJACK OR JIVE LIGHTSの名の元に、他のリリースとマッチしない
より「明るい」曲のアルバムを二枚リリースしていますね。
その方向でのさらなるリリースの予定はありますか?

chako 今のところ予定はありません。


BLACK 私の私見によれば、あなたの曲のタイトルから察するに、
あなたは よくシリアスなテーマを採用していますね。
それは音楽にも「暗く」 「シリアス」に反映されています。
しかし、それらは完全に希望がないものではありませんね。
あなたは普段どこからインスピレーションを得るのですか?

chako わたしの音楽をよく理解されていますね。
暗さとかシリアスさというのは、みな個々にボーダーラインがあるのですが
比較的わたしは暗さやシリアスさに対するボーダーラインがないということです。
悲しみの中に希望がある。この前向きな痛みに似たものは、
ボーダーラインを取っ払ってしまえばより一層感じ得ることが出来ると思います。
インスピレーションについてですが、わたしの場合、こころが動いたところから始まっています。


BLACK あなたは時々、曲やアルバム全体(献花の場合)を特定の人物や出来事に捧げています。
曲を作る前からこれらの出来事に捧げる意図を持っていたのですか?
それとも、曲が完成した後で捧げることを決めたのでしょうか。
どのような基準でそのような出来事や人物を選ぶのですか?


chako 献花の場合は特別でした。
地震によって一度に数千人が亡くなることは、わたしが生きてきてはじめて遭遇する悲しみでした。
アルバムを作りたいという気持ちに至ったのは、この気持ちがあったからです。
個々の曲については、TVなどの番組で衝撃を受けそのままレコーディングという形のものがあります。
それはその時に痛烈に感じた悲しみや憤りを音にしました。また、無常の中のCHIEKOなどは
日本の詩人の妻で、彼女の生涯をドラマで知る機会があり彼女の為に作りました。
こうして思うに、特定の人物や出来事というものに遭遇した時に、わたしの心を大きく突き動かす
何かがあるんですよね。その度合いが大きければ大きいほど、創作したいという気持ちが強くなります。
言葉では言い表せないものは、こうして曲となってイメージで伝わると信じています。


BLACK プライベートではどのような音楽を聴きますか? 最近購入したレコードを五つ挙げてください。

chako そうですね、静かな曲が多いでしょうか。 特定のジャンルはありません。
最近購入(頂いたもの)したのは次の通りです。

1) ALIO DIE 「LE STANZE DELLA TRASCENDENZA」
2) TLON UQBAR 「LA BOLA PERDIDN」
3) ASIANOVA 「BURNING THE BLUE SKIES BLACK」
4) SAMINGAD 「VOICE OF PUYUMA」
5) EDWARD KA-SPEL 「PUBLIC DISTURBANCE」



BLACK 将来の計画は何かありますか? またソロ活動をする予定はありますか?

chako イタリアのGORとのコラボアルバムを仕上げて年内にリリースしたいですね。
ソロ活動の予定は今の所ありません。来年にはまたドイツへ行ってLIVEしたいですね。


BLACK 最後に読者に伝えたいことなどありますか?なんでも結構です。

chako 2月にドイツでLIVEを行いましたが、初めて耳にする人もいたようでした。
とにかく一度聴いてほしいと、ただその気持ちは募る一方ですね。


Special thanx translate by Yakamo