IMPRESSION   " JACK OR JIVE に関する雑感 "
written by Yakamoto


私が知ってるバンドの中でJACK OR JIVE はたぶん、一番奇妙なバンドだ。
どこが奇妙かというと、彼等の人気のあり方だ。

日本に住んでいて日本で音楽を作っているくせに、なぜか日本では無名に近くって、
遠く遠く離れたドイツやフランスでアルバムを売っているというなんとも奇妙なバンドだ。

この奇妙な名前を初めて聞いたのは6年前のこと。
電気メールで知り合った、音楽のシュミが妙に
合うアメリカ人が
「おまえ、JACK OR JIVEってすげーcoolなバンドがいるんだけどよー、知ってるか?なんでも
ドイツでアルバムを出してるらしいぜ!」と教えてくれたのだ。
それからというもの、私は輸入レコードのドイツっぽい場所を探して探して探した。

月日は虚しく過ぎてゆき、チクショー、あのヤンキーめ、ガセ掴ませやがったかとか、
もしかしたら本当にアングラな音楽で政治的な理由で販売が禁止されてるんじゃないのか
などと
色々考えたりした。
そうして、2000年の春、偶然に私はJACK ORJIVE が日本のバンドであること、
そう遠くない町に
住んでいて、怖い人ではないこと、という事を知りそこから先はさながら坂を転げ落ちるように
私は数年間手に入れることが出来なかったアルバムをまとめて買って彼らの音楽のファンと
なったのだ。
ここまで長い長い道のりだった。

しかし、ここで巨大な疑問符が私の心の中に浮かんだのだ。
10枚近くCDを出してるよ、この人達。
秘密のも入れるともっとあるよ。
クリンペライと同じレーベルからも出してるよ。
駅前のちゃっちいレコード屋にも
クリンペライの CDがへんてこなPOPつけられて売ってるのに、
なんでJACK OR JIVEのCDが無い?
信じられないことに日本でJACK OR JIVEのCDを購入するには、彼らから直接買うしかないのだ。
なぜここまで知られていないのか。とても興味深い問題ではないか。ダメな音楽だから普及しない、
という
意見もあるかもしれないが、そうだとしたら、なぜヨーロッパで人気があるのか?
ヨーロッパ人はダメ人間なのか?
たぶん違うはず。
私の推理によると、この問題は日本文化が抱える病める部分と深く関わっているのである。
多くの日本人音楽ファンにとって音楽とはファッションの一部ではないのか。
自分がどういう音楽を聴いているかで自分を判断してもらう、そういう手段として音楽を選んでいる、
そんな感じがする。

こういう場合に必要な音楽のジャンルは、適度にハイセンスで最新でかっこよくなくちゃいけない。
そして、それらの条件の内で
最重要のものがこいつに加わる。「誰もが知っている」ことだ。
例えば、それは雑誌で紹介されていたり、ラジオでアレされていたり、 巨大CD屋のお勧めだったり
そういう
ものでなければいけない。 友達が部屋に来て、レコード棚を見られた時に、
そこにそういう無難なレコードが無くて、
クロアチアの戦意高揚ラップのアルバムとか
サンダカンの民族音楽とかJACK OR JIVEのアルバムみたいな、
そういう誰も知らないものが
並んでいたりしたら、「うわ、こいつ変態じゃん」 ってことになって翌日から苛められる。
大変なことだ。
雑誌の記事を書く人も、周りを見まわしながら当たり障りのない音楽を選んで紹介している。
雑誌などで紹介されないからCD屋もCDを売らない。
誰も買わないから益々、悪循環。
こういう風土が日本におけるJACK OR JIVEの立場を「アウトサイダー」 たらしめていると思うのだ。
これは音楽に限ったことではない。小学校で、皆と違う色のランドセルを持っているから、
なんていうことでエン
ガチョされたりとかそういう問題と根っこは一緒だ。

新しい千年紀を迎えた今こそJACK OR JIVEがデビュー以来の、
世間のネグレクトに対して報復する時なのだ!
この島国のぬらぬらした風土に風穴をあけてしまえ!
アウトサイダーの跋扈する、ヘンリーダーガーの絵みたいな世界にしてしまえ!
幸い、JACK OR JIVEはすでに海外に確固たる足場を築いている。
日本はいつでも外圧に弱いから全米で話題になって逆上陸、なんて簡単なはず、だと思うのだ。